楽器フェアの最終日は日曜日ということもあって、この4日間で一番の集客数。
12:00という少々早い時間にもかかわらず、シェクター・ブースには黒山の人だかりができていた。

デモンストレーションを行うのは、Concerto Moonのギタリスト:島 紀史氏。
現在まで6シリーズのシグネチュア・モデルが発売されているシェクター・モニターを代表するギタリストの1人。結論から言えば、約1時間のステージはとにかく弾きまくり。あまりの運指の速さと、華麗なフォームに場内が騒然とするようなデモンストレーションとなった。

 登場するなり『RISE FROM ASHES』(2008年)収録のオープニング・ナンバー「LIES AND BETRAYAL」を披露。ギター・ソロをフィーチュアリングしてアレンジされたデモンストレーション・ヴァージョンだけに、スピーディーなフレーズが山盛り。
のっけから頭をかち割られるかのような音数のインパクトがある。

「本来なら、1曲弾き終わった後で質問コーナーやらフリー・トークやらがあるんでしょうけど、今日はお客さんイジリ(笑)もなく次の曲へ行こうと思います」と、続けて演奏されたナンバーは、『AFTER THE DOUBLE CROSS』(2004年)収録の「30min. IN THE DARKNESS」。
イントロ・リフからして、ピーキーなピッキング・ハーモニクスやクラシカルな旋律が詰め込まれた島氏の真骨頂。客席の度肝を抜いたところで、使用ギターの紹介トークへ。

「普段のメインは、ホワイトのカラーリング、ラージヘッド、ローズ指板のIVですね。で、その隣のブラックのカラーリング、ラージヘッド、メイプル指板のVは6弦のチューニングをドロップさせる曲のメインで使ってます」。

 これら2本のメイン・ギターは、楽器フェア中、シェクター・ブース内に展示されていたので、来場された方はご覧になったことと思う。プロの使用メイン・ギターを手の届く至近距離で観ることができる、それも楽器フェアならではのお楽しみの1つだ。そしてこの日、島氏がステージで使用したのはシグネチュア・モデルの1本目となるAC-NS/SIG Iだった。

「スモール・ヘッドのローズ指板がシグネチュア・モデル一号機なんですけど、僕はモデルのルックスを勝手に変える癖があるので、ピックガードを黒に交換してます(笑)。

このギターと、先ほど紹介した2本にナチュラル・フィニッシュを加えた4本で、普段はツアーを廻ってます」。

 シグネチュア・シリーズは全モデル共通して、島氏流のカスタマイズが施されているという。
「ボクは手が小さいので、通常のストラトと比較するとナット幅を狭くしています。そうすることでフェイバリット・ギタリストの1人であるリッチー・ブラックモアのような低音弦での親指を使ったリフ・プレイも弾きやすくしているんです
。ただ、ソロ・プレイで多用する12フレット以降は、グリップ感が欲しいので通常のストラトと同じ幅にしています。ネックを先細りさせているというか(笑)」。

 ガッチリとグリップしたいロー・ポジションでのリフも、長丁場となるライヴで疲れることなく弾くことができるのが、このネック・シェイプの利点。ローズ指板や貼りメイプル指板、メイプル1ピース・ネックなど、様々なタイプのネックを採用している島氏のシグネチュア・モデル全てに統一したネック・シェイプだということだ。
また以前はピックアップにセイモア・ダンカンのクォーターパウンドを採用していたが、現在は全シグネチュア・モデルにシェクターと共同開発したチキンシャックを搭載、同じく全モデル、ボディー材にはスワンプ・アッシュを採用している。

つまりカラーリングと指板およびヘッド形状以外は全シグネチュア・モデル共通スペックを採用しているということだ。
「基本的な仕様はほぼ同じなんですけど、その時々の旬というか、ルックスでボルテージが上がるものをチョイスして使っています。そのルックスも一号機みたいに勝手に変えたりしてるんですが(笑)」。

 とにかく演奏をたくさんやるという主旨で開かれた今回のデモンストレーションは、この後、自身のソロ・アルバム『FROM THE WOMB TO THE TOMB』(2008年)収録「Reason To Live」、『RISE FROM ASHES』(2008年)収録「ALMIGHTY WINGS」、別プロジェクト:DOUBLE DEALERのナンバーなど、メロウに聴かせるナンバーから超絶テクでフロアをアゲるナンバーまで、全6曲を演奏。
しかもボーカル部分をインプロで聴かせるという、楽器フェア用のアレンジが施された演奏の数々に酔いしれた、レアでスペシャルな1時間だった。

このデモンストレーションの前日、新ベーシストの加入が発表されたConcerto Moonは、2010年春頃のリリースに向けてレコーディングを行うという。しかも、今まで以上にギター・オリエンテッドな内容になる予定とのこと。弾きまくりのタフなヘヴィメタルを期待して待とう。

 
▲手前のホワイト・フィニッシュのボディにローズ指板のギターが、島氏のメイン:AC-NS/SIGW。その左奥のブラック・フィニッシュのボディーにメイプル指板のギターが6弦のチューニングをドロップさせる曲のメイン。どちらも本人使用モデルで、楽器フェア開催中はシェクター・ブースに展示されていた。



 

【島 紀史インタビュー@楽器フェア会場】

レスポンスの良い“速い音”が鳴り響くシグネチュア・モデルを絶賛!

「生音でもアンプにつないでもピッキング・タイミングに音がついてきてくれる」


――まずは本日のデモンストレーションの感想からうかがいます。全6曲の熱演という、ずっしりと中身の詰まった内容でしたが。
島:そうですね。オレのくだらないトークよりも、演奏を聴きたいだろうなと(笑)。楽器フェアのデモンストレーションだからね。
――それも楽器フェア用にアレンジされたインスト・ナンバーというスペシャル感がありました。
島:日々お世話になっているシェクターさんのため、日曜日の昼にわざわざオレの演奏を聴きに来てくれた人のために、頑張りました(笑)。
――演奏の他にも、自身のシグネチュア・モデルについての解説がありました。現在まで6つのモデルがリリースされています。
島:一号機からして、サウンドも操作性もバランスに優れているんです。シェクターから出ているシグネチュア・モデルがあれば、どんな用途にも事足りるという手応えがありますね。カヴァーできないところはないです。
――全モデル、ボディー材にアッシュを採用しているというところにも、サウンド的なこだわりがあると思うのですが?
島:そうですね。通常、ストラト・タイプというとアルダー材のイメージがあると思うんです。僕もストラトのミドル・レンジの音は好きなんですけれど、アルダー材のストラトで自分好みのミドル・レンジの音を作ると、低音弦が少しこもるんですね。
――シグネチュア・モデル製作以前に、アッシュ材のストラトを使っていたことは?
島:昔使っていたブロンドのストラトが偶然アッシュ材で。それまで不鮮明に感じていたアルダー材のストラトのトーンが、アッシュ材では音の粒立ちがいいように感じられたんですね。ということは、自分のシグネチュア・モデルはアッシュの方がいいんだろうなと。
――簡単に言うと、音の立ち上がりやヌケはアッシュの方がいいのかもしれませんが、一方で正確なピッキングが要求されるという特性も持っていますよね。
島:そうです。粗が目立つので気合いがいるんですけど(笑)、ピッキングに対するレスポンスが凄くいいから、アタックの微妙な表情の出しやすさもあるし、たとえば、生音で弾いていても、マーシャルでフルドライヴさせても自分のピッキングしているタイミングで、音がついてきてくれるんです。
――尋常ではないピッキング・スピードを持っている島さんならではのセレクトとも言えるかもしれませんね。
島:ガッツのある音ですよね。そこが特徴にもなっているし、好きですね。
――来年リリースを予定しているというアルバムに収録されるギター・サウンドも楽しみにしています。
島:2010年の1月中旬頃からレコーディングを開始する予定で、今、デモも上がっているんですが、ヴァリエーション豊かなアルバムになりそうかな。ステージでも言ったように、「今までのアルバムも、ギターはたくさん弾いているだろう」と言われるでしょうけど(笑)、今まで以上にギターをフィーチュアした、メロディアスなヘヴィ・メタル・アルバムを作ろうかなと思っています。
――その片鱗が垣間見えるかのようなデモンストレーションでしたね、本日は(笑)。
島:ハハハ。日曜の真っ昼間だから、お客さんもそんなに居ないんだろうって、ちょっとナメてました(笑)。すごい数の人が来てくれましたね。で、ライヴじゃないから、演奏を冷静に観られることになるでしょ。だから、自分の中でムダにテンションを上げて弾いたところもあるので、加速した感が出たと思います(笑)。

 

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