9月18日(土)、東京・新木場COASTにて、“VIDOLL LIVE Res[e]t”が行なわれた。ツアー・タイトルに冠された“Reset”には、“組み直す/初期状態に戻す”の意がある。が、彼らの場合は新たな始動が約束された一次休止。ヴォーカリストのジュイが喉の治療に専念するための休止なのだ。というわけで、Res[e]t(=Rest=休憩)とも読ませる表記になっている。しかしながら、バンド活動がストップしてしまうのは事実で、この東京公演に先立って行なわれた名古屋・大阪公演はSOLD OUT。もちろん、この日も活動休止前の彼らを見ようと約2000人近いファンが会場に集まった。
ライヴは9月15日に発売されたニュー・シングル「Crescent gazer」収録の「死兆線」からスタート。バラードによる幕開けは荘厳で気高く、会場はジュイの歌声に深く聴き入るように静かだ。続く「Deathmate」からは、ライヴに欠かせぬナンバーを中心に展開。軽快に疾走する「エリーザ」、ヘヴィながらダンサブルな「Chocoripeyes」と、タイプの異なる楽曲を次々と披露。序盤から、彼らの音楽的な振り幅の広さが堪能できる構成となっていた。
これまでも本人のブログなどで、活動休止の理由については触れられてきたが、この日最初のMCで、ジェイは改めて自らの口で、その真相を語った。「今日は終わりじゃない。オレも本当は手術とかしたくないんだ。でも、喉が本調子でないまま続けても、オレの不安がみんなにも伝わってしまうだろうし。だから、こういう決断をさせて頂きました」。会場からは温かい拍手が湧き起こる。活動休止は苦渋の決断ながらも、決して後ろ向きなものではないことを改めて印象付けたMCだった。
その後は、「nevaeH」「オリビア」など、アルバム『V.I.D』('06年発表)収録ナンバーを立て続けに披露。現メンバーでの集大成的な様相を呈したセット・リストにフロアは大きな盛り上がりをみせる。「SinAI」では各プレイヤーの見どころが満載。とりわけシュンとギルのハモリ&掛け合いのツイン・リードは美しく、華やかに会場を彩る。また、ユニゾン・プレイや、ヘヴィ・リフとヒステリックなワーミーによるアンサンブルなど、2人のギタリストのプレイは実に変幻自在。楽曲バリエーションの豊富さもさることながら、ギターのアレンジ力の高さは注目に値する。
中盤には、再びMCタイム。「今年の夏はとても暑かったね。だんだん涼しくなってくると、暑かった夏が思い出に変わっていくのかなって。そう思うとなんだか寂しくなってきたり。季節の変わり目を感じています。今年はいつ見れるのかな…「初雪」」というジュイのMC中、ドラムのテロがピアノをアドリブ演奏。そのまま2人で「初雪 Pf ver.」を披露。まさにワンマンならではの演出に客席が引き込まれていく。その空気感のまま「Cloud」。そして「思春の痕〜Love me, Hug me〜」「At the 13」などの久しぶりのナンバーでは再びフロアが暴れ始める。
怒濤の後半は、ライヴでやったら盛り上がらずには居られない、ここ最近の定番曲のオンパレード。「Blue star」「尖る愛」などのメジャー移籍後のアルバムに収録された楽曲はもとより、映画『ゴスロリ処刑人』の主題歌「ゴシカロイド改」を含む、彼ら十八番の激しいナンバーを立て続けに演奏して、会場を大いに盛り上げた。
鳴りやまぬアンコールは、3度。ミディアム・テンポのヘヴィーな「ヒロイン」はひたすらダークに、「ワイセツ人形」ではメンバーが客席へダイヴ。そして2度目のアンコールはジュイのMCから始まった。「昔から感情表現が得意ではなくて…天の邪鬼だから逆のことを言ってしまう。たとえば、ライヴのラストでも“おまえら、愛してるぜ!”なんて言えなくて、“ありがとう”という言葉に変えてしまう。でも、オレは感情を言葉にするのがあまり上手ではないぶん、神様から少しだけ人より素敵な声を授かったと思っている。だからこうしてステージに上がれているし。その言葉の代わりに音符に載せて気持ちを奏でようと思います」と、「Crescent gazer」を演奏。続く「我輩ハ殺女成リ」では、ジュイの気持ちに応えるかのように会場から大合唱が巻き起こる。バンドとファンの結びつきの強さを感じる場面であった。ラスト・ナンバーは「人魚」。アンコールを含む全24曲の最後にジュイは、「また次も、もっといいものを見せるてあげる。手術して絶対戻ってくるから。俺の歌はこんなもんじゃないし、もっともっといい歌を聴かせてあげるから」と涙ぐみながらも力強い言葉を残してステージを後にした。
精力的にライヴ活動をしてきたVidollだけに、活動休止は寂しい限りだが、一日も早い喉の回復と、バンドの再始動を待ちたい。なお、活動再開時期は未定だが、2011年1月19日にはインディーズ時代の名曲「INNOCENT TEENS」から最新シングル「Crescent gazer」までの代表曲を網羅したベスト・アルバム『BEST』のリリースを予定。しばしの別れの間は、この音源(全曲リマスター)を聴きながら復帰を待っていたい。
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