SHECTERモニター達の共演にフロアが沸騰
一音一音を、言葉のひとつずつを、エモーショナルにしていくばかり

 当初、3月に予定されていたSCHECTERプロデュース・イベント“UNDER THE INFLUENCE 2011”だったが、東日本大震災の影響により約1ヶ月公演を延期。出演ラインナップも当初の予定とはやや変更せざるを得ない状況にはなったものの、4月29日に無事に開催された。会場は超満員。DJ AYASHIGE(ラウドロックバンド:WRENCH のヴォーカルで知られるワダシゲフミのソロプロジェクト)がフロアを盛り上げる。
 
THE GHOST SPARDAC

 最初に登場したのは中国は北京のTHE GHOST SPARDAC。“中国にロック・バンドはいるのか?”“いても当局管理下で自由がなさそう”……そんな、こちらの勝手なイメージも膨らんでしまうが、メンバーに聞いたところ、日々、加速度的にロック・シーンは成長しているそうで、海外のアルバムや機材も以前に比べるとだいぶ入手しやすくなったという。でも、すごく高いみたい。そう教えてくれたのは、スポークスマンでもあるボーカル&ベースのBoxy。そのBoxyとギタリストのChuckが出会ったことから2007年にTHE GHOST SPARDACは誕生。翌年にドラマーのFeverも加わったトリオ編成のバンドとしてスタート。現在は北京を中心に精力的に活動中で、2011年、初音源もリリースした。そこからのナンバーを中心にしたステージは、こちらのイメージをいい意味で裏切っていった。曲はエモーショナルでいてポップ、バンド・サウンドもトリオ編成の規格外と呼べそうな厚み。歌詞も英詞が中心で、それを歌うBoxyはハーフ・アメリカン。だから中国のバンドというよりも、アメリカ西海岸の注目の新人といった感じだ。今回が初来日だから、オーディエンスも彼らを観るのは初めてだが、曲が進むたびに盛り上がるばかりだった。ちなみに帰国後、バンドは中国で行なわれる大規模なイベントに出演、さらに夏に再来日して“SUMMER SONIC 2011”にも出演した。

 
calx
 続いたのはcalx。劇伴作曲家(=アニメやドラマなどにオリジナルの曲を付けるソングライター)としても活動するギタリストのタニウチヒデキが、アニメ「DEATH NOTE」のサントラ制作のために結成したバンドだ。すでにcalxとして他にも何作かのサントラに曲を提供している。心のダークサイドなどを絡めたアニメ作品が多いため、冷酷でスリリングなムードをあおる曲を得意としているのかもしれない。ところがステージが始まってみれば、テクノの要素も混ざったダンサブル・サウンドを次々に繰り出していった。ただしテクノ・ポップなピコピコしたものではない。ギター2本が歪みやエフェクト・サウンドを駆使、シーケンスと生のリズム・セクションが1つになることでトリッキーな攻め方もしてくる。踊れる音だが、一皮むくとアバンギャルドでロックなテイストも満載。
 
CROTHFAITH
 刺激的なエレクトロニカが流れると同時に、オーディエンスは衝動を抑えられず、最前へと押し寄せていった。鳴り響く曲は「If you want to wake up?」。2009年に発表した1作目の1曲目をSE代わりにCROSSFAITHがステージに登場した。すでにカオス状態になったフロアを目の前に、やる気充分なメンバー。次の瞬間、アルバムの流れと同様に「Mirror」で攻撃を開始した。尖りまくったギター・リフに、どこまでもテンションを切らさない迫力のデス・ヴォイス、マシーナリーとも呼べるリズム・セクション。生粋のメタルコアだが、このバンドをより個性的にしているのは鍵盤やサウンド・エフェクトを担当するメンバーがいることだ。トランス・ミュージックにも通じるシーケンスも採り入れ、ねじれていくような空間を曲に作り出したり、曲展開を刺激的に彩ったりする。またギター・リフやオブリ・フレーズも、単なる攻め一辺倒ではなく、鍵盤と絡み合いながらドラマティックな場面も作り出す。メタルコアの最有力若手バンド(メンバー平均年齢20.5歳)として存在は知られているが、オリジナリティーある曲と音は、すでにそのフィールドをブッ壊している。またこのライヴの前日(4月28日)に、2作目のアルバム『The Dream, The Space』をリリースしたばかり、もちろんそこからのナンバーもさく裂。モッシュやらダイヴなど、すさまじいエネルギーがフロアで渦巻いた。
 
FACT
「久しぶりだなー、祭りの準備はいいか。祭りだ、祭りだ!」
 北島三郎のコマ劇場公演を連想させるセリフで登場したのはFACT。セリフを叫んだのはもちろん煽り番長のEiji。CROSSFAITHの作った熱さをさらに上昇させるように、すっかり浸透したメジャー2作目『In the blink of an eye』、そしてバンドの生サウンドにこだわった最新ミニ・アルバム『Eat Your Words』からのナンバーを、5人は次々に叩きつけていった。ただ、いつもと大きく違ったのは、ブレイクダウンのたびにHiroがコール&レスポンスを起こすように叫んだり、ストイックなTakahiroやKazukiもフロントに出て来て煽ってきたりしたこと。とにかくコミュニケーションする場面が目立った。この後のMCで分かったが、3月11日の大地震のとき、茨城在住の3人は生きた心地がしなかったそうで、Hiroの自宅の50m手前まで津波が迫っていたとのことだ。このステージは震災後、初のライヴだったこともあり、生きていることやバンドで音楽するうれしさ、オーディエンスとガチでやり合う喜びを、ひたすら実感していたという。そういった気持ちの高ぶりは、一音一音を、言葉のひとつずつを、エモーショナルにしていくばかり。メタルもコアもエレクトロニカもテクノも混ざった最新型のミクスチャー・サウンドのFACT。しかし、この日はやけに人間FACT、純粋FACTといった面も強く混ざり込み、情熱的な音とステージにもなった。

 
 



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