シグネイチャー・モデル“Spacious”の膨大なスケール感
SADS、STEALTH、カイキゲッショクの活動ほか、多様なサポートやセッション・ワークで比類なき重低音を響かせるギタリスト、K-A-Z。7弦および8弦を駆使したギター・プレイは、一聴しただけで彼のものと判別可能なオリジナリティに溢れている。
そのラウドでヘヴィなトーンはもとより、エモーショナルやクランチ・トーンから透き通るクリーン・トーンまで、あらゆる音色を操るK-A-Zの意志を100%反映したシグネイチャー・モデルが制作された。
モデル名は“Spacious”。宇宙的な底知れぬポテンシャルを意味する、このシグネイチャー・モデルの全容に迫るべく、K-A-Z本人に制作意図〜音質特性をじっくりと解説してもらった。

 No. 001――シグネイチャー・モデル製作コンセプト
「“動”と“静”——その両方のクオリティを上げてこそ
成立したシグネイチャー・モデルなんですね」


――これまで10数本のSCHECTER製ダイヤモンド・シリーズを使用してきたわけですが、完成したシグネイチャー・モデルはそれらと同じ文脈にあるものですか。それともまったく新しいモデルとして生み出されたものでしょうか?

K-A-Z:まず、一番初めは「とんでもないギターを1本作ってもらいたい」って話を僕からSCHECTERに相談したんですよ。

――その“とんでもない”というのは、実用的なものですか?

K-A-Z:もちろん実際のステージで使いたいんだけど、これまでにないものでね(笑)。ただ、それを作る前に「まずはSCHECTER JAPAN製でK-A-Zモデルを1本作りませんか」っていう話をいただいて。それで、7弦のシグネイチャー・モデルを製作することになったんですよ。

――SCHECTER JAPAN製となると、土台となるモデルはダイヤモンド・シリーズではなく、最高峰のEXシリーズでしょうか?

K-A-Z:そう。ただ、僕がイメージするEXシリーズは、キルテッドとかトラ目とか豪華な木目が浮いているようなシースルーカラーでね。やっぱり洗練された感じというか上品なギターというか。もちろんそれもカッコいいんだけど、僕が作るオリジナルなら漆黒のギターにしたかったんです。そのほうがギタリストK-A-Zのイメージに近いのかなっていう。で、黒ボディにミラー・ピックガードを付けたいなと。その配色ってある意味メタリック・カラーじゃないですか、古くはJudas Priestから始まった。

――グレン・ティプトンのギターはまさにそうですね。さらに“全面ミラー・ピックガード”仕様を合わせた2本のシグネイチャー・モデルが完成しましたが、ルックス以外はどのようなオーダーを?

K-A-Z:今までのダイヤモンド・シリーズは基本的にずっと2ハムのピックアップのレイアウトだったんですよ。さらにリア1ハムの8弦Vシェイプはコントロールが1ボリュームだけで、それも男らしくて良かったんです。

――ところが今回のシグネイチャーは、フロントにサスティニアックを搭載したHSH配列で、5wayピックアップセレクター・スイッチ、ボリュームとトーンに加えて、ローカット/ハイカット・スイッチも搭載しています。

K-A-Z:新しく作るギターに関しては、1本でいろいろなトーンが出せるほうがいいなっていうのがあってね。僕が関わっている現場は、基本的にはヘヴィなサウンドのオーダーが多いんですけど、実はヘヴィなもの以外にも装飾音としていろいろな音を入れると喜ばれるんですよ。“こんなのもできんの!?”みたいに(笑)。そういうときに、エフェクターとかプロトゥールス上で音色を変えるより、ギター本体をコントロールしてトーンを変えるっていうのが大きな武器になる。そこはすごく求めていた部分だったので。

――多機能であるということは、このシグネイチャー・モデル自体がヘヴィなサウンドだけを目指して制作されたものではないということでしょうか?

K-A-Z:もちろんヘヴィな人たちが使うぶんには全然問題ないですよ。むしろ僕はそこでやってるわけだから、そのサウンドは絶対的に保証するよと。ただK-A-Zモデルだからといって、ラウドじゃないと手を出しちゃいけないっていうわけではなく、トーン・バリエーションがすごくあるオールジャンルなものなんですよ。自分の冠が付くオリジナルという部分においては、一個のサウンドで勝負するわけではないですから。

――そのあたりはK-A-Zさんのインスト・アルバム『attacK-A-Zenith』を聴くとよくわかります。ヘヴィで攻撃的なリフあり、クリーンなアルペジオあり、フラッシーな速弾きあり、流麗なシーケンス的タッピングありと多彩ですから。

K-A-Z:僕自身もその対比がすごく楽しいというか、おもしろいんですよ。静があるから動が活きるし、その逆も然り。やっぱり両方の音質にはこだわりたいっていう。ヘンな話、動がすごくて静の部分が手を抜いた感じの音になっていたら、たぶん成立しないと思うんですよ。両方のクオリティを上げてこそのシグネイチャー・ギターですね。

 



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