加入経緯、最新作『The Grails』、使用ベースを語り尽くす!
ベーシストTORUの脱退後、混迷したHAWAIIAN6を再始動に導いたのは、盟友のRYOSUKE(FUCK YOU HEROES、HARDCORE FANCLUB)の尽力によるものだったと言えるだろう。
結果、リリースされた最新ミニ・アルバム『The Grails』は、過去に積み上げた作品に最大限の敬意を払いながら、余計な贅肉をすべて削ぎ落として制作された。その音抜けは素晴らしく、収録された全6曲がタイトで重厚な新生HAWAIIAN6サウンドをそのまま表しているようだ。
“バンド消滅の危機” “新加入のプレッシャー” “成熟したサウンドの解体と原点”“ベース・サウンド&スタイル”……そのすべてを語るRYOSUKEパーソナル・ロング・インタビューをお届けしよう。

 Session. 001――HAWAIIAN6加入の経緯
「三角形のひとつを担うピースが足りていなかったわけだから
そこはもはや人間関係なんですよ」

——2011年6月10日にRYOSUKEさんのHAWAIIAN6正式加入が発表されたわけですが、遡って、その年1月のTORUさん脱退からの半年間、どのような動きがあったのか教えてもらえますか?

RYOSUKE:TORUちゃんが脱退することは2010年10月に発表されたんですけど、僕自身はTORUちゃんが脱けた後も、すぐにHAWAIIAN6と対バンしたかったから“早くベーシストをみつけてくれ”っていう話をしていたんですよ。HAWAIIAN6は10数年以上前からの仲間だし、イベント“1997”ではパートナーとしてやってきたバンドなので、その活動が止まるということがまず考えられなかった。

——“1997”は、FUCK YOU HEROESとHAWAIIAN6の結束を象徴するようなイベントで、TORUさんの脱退発表後の2010年11月にも開催されたわけですけど、その時にRYOSUKEさんは、「TORUちゃんのためにもこのイベントを存続させるし、できるだけ早く次回を開催したい」と言ってたんですよ。

RYOSUKE:そうでしたね。そのためにもHAWAIIAN6には早く動いてほしくて、はっちゃん(HATANO)とはやり取りを続けていたんです。でも、いよいよTORUちゃんのラストライヴが終わっても、まだベーシストがみつかってないと。ゴウちゃん(レーベルIKKI NOT DEAD社長)はHARDCORE FANCLUBでいつも一緒にいてくれていたので、冗談で「やってよ(笑)」なんて言われたりもしたんだけど。

——それ、冗談だったんですか?

ゴウ:冗談でもなかったんですよ(笑)。

——で、冗談じゃないなってことも、なんとなく感じていたんですよね?

RYOSUKE:なんとなくはね(笑)。

——それにしてもRYOSUKEさんはFUCK YOU HEROESとHARDCORE FANCLUBのベーシストとしての活動がありつつ、STEP UP RECORDS社長としての仕事もあるわけで。

RYOSUKE:さらにもうひとつ、TRADITIONAL BOXっていう歌ものバンドのベースもやっていたから、HAWAIIAN6に入るなんて考えられる状況ではないし、そもそもHAWAIIAN6はそういう活動スタンスが許されるバンドでもなかったですからね。ところが、2月に入ったあたりでTRADITIONAL BOXがメンバーの体調の問題であまり活発な活動ができなくなったんです。なおかつ、FUCK YOU HEROESはメンバーの都合で2012年はあまり動けなくなることが決まっていたし、レーベルのほうも僕がベタ付きしないでも回れる状況になってきた。となると、僕の主軸はHARDCORE FANCLUBだけとなっていたんです。

——自身の身辺に整理がついてきた時期でもあったという?

RYOSUKE:そうです。3月に入って、真剣にHAWAIIAN6のことも考えられるようになったんですけど、そのときまだHAWAIIAN6は混沌としている状態で。まず、HARDCORE FANCLUB、FUCK YOU HEROES、TRADITIONAL BOX、STEP UP RECORDS所属バンドのメンバーにそれぞれ、「HAWAIIAN6に入ろうと考えているんだけどどう思う?」って話をしたんですよ。そうしたら「いや、いいんじゃない。HAWAIIAN6に入って、いろんなものを盗ってきてよ(笑)」って後押ししてくれて。そこから、初めてはっちゃんとYUTAと個別に話をしたんです。

——冗談では、ゴウさんと“HAWAIIAN6に入る?”みたいな話をしていたとはいえ、HATANOさんやYUTAさんには、そういう話はしていなかったわけですよね。

RYOSUKE:そうですね。

——そもそもRYOSUKEさんとHATANOさんとの間では、“こんなベーシストを探している”みたいな話はあったんですか?

RYOSUKE:いや、ないですね……というか、まず上手いとか下手とかそういう次元じゃない部分で、三角形のひとつを担うピースが足りていなかったわけだから、そこはもはや人間関係なんですよ。はっちゃんとYUTAの間に入る人間となると、自分で言うのもなんだけど、僕しかいないだろうと思っちゃってたし。

——お互いのことは意識しながら、でもオトナだから状況を冷静に考えて、その上でのRYOSUKEさんからの“告白”だったという?

RYOSUKE:そう、告白です(笑)。まず「実は今、こういう考えに変わったんだ」ってはっちゃんに話したんですよね。でも「いや、ムリっしょ」って反応でしたね(笑)。“オマエがダメだ”という言い方ではなくて、「掛け持ちできないでしょ。キツいんじゃねぇか」と。YUTAも同じ反応で。ただね、僕は一回思ったら進んじゃう人間なんで、「僕の状況がどうかの前に、まずはオマエらが僕をどう思うか考えてくれ」と。そこから話が前向きに変わっていったんです。ぶっちゃけ、おっしゃる通り、お互いに世間体とか立ち位置とかも多少は気にしていたとは思う。でも、回転しなきゃわからないことだから、関係ねぇんじゃないの、もしコケたらコケたでいいじゃんって。

——それほどRYOSUKEさんの意志が強かったと思うんですが、なにかしらの確信めいたものがあったんでしょうか?

RYOSUKE:もしそのときのままだったら……こういう言い方していいかわからないですけど、僕には本当にバンドが危ない時期だったように思えたから。YUTAはソロを始めてそっちで落ち着きはじめていたし、はっちゃん自身もバンドっていうか、そういうカタチじゃなくてもいいかなと思っていた時期だったと思う。はっちゃんは掛け持ちっていう考えがない人だし、YUTAも掛け持ちをしたことがなかったから、たぶん整理しきれてなかったというか。でも、僕はそういう考えで動いてきた人間だから、ソロはソロでHAWAIIAN6をどうするかを判断すればいいんじゃないかという話もしていたんです。

——それが2011年3月のことですよね。

RYOSUKE:そういう気持ちを伝えたあとの3月11日に東日本大震災が起こったんです。僕はすぐにSTEP UP RECORDSとしてアコースティック・オムニバス『hope』(復興支援アルバム)を作るためにYUTAにも協力してもらったんですね。正直レーベルとしては大きな力を借りたかったから、HAWAIIAN6のYUTAで参加してほしいっていう考えがあったんですけど。動くかわからないHAWAIIAN6の名前を使うか、YASUNO N°5名義で参加するかで迷うYUTAと、う〜んと思っているはっちゃんもいて、結構話し合ったんです。でも、はっちゃんは震災に対して極度に深い感情を持っていたから、「もしなにかの力になれるんだったら、HAWAIIAN6の名前で参加すればいいと思う」と言ってくれたんですよ。それって、はっちゃんもHAWAIIAN6としてなにかしたいということじゃないですか。だったら、HAWAIIAN6として還元できることがあるんだからやろうよっていうことを話したりもしてましたね。

——この半年間は、空いていたベーシストの座を決定するための期間、という単純なものではなかったようですね。

RYOSUKE:東北へ気持ちを持っていくにはやっぱりHAWAIIAN6なんじゃねぇのっていう2人の気持ちがバンドを動かしたというか。はっちゃんが言ってたけど、ベースなんか誰でもよくて、HAWAIIAN6が動くことができればいいっていうことが大きかったと思う。

——動きたいという気持ちと、一緒にやりたい仲間が居るということが重なったからこそ、再びHAWAIIAN6が始動したわけでしょう。そういう内部事情は知らなかったまでも、多くの人たちがRYOSUKEさん加入にビックリしつつ、なるほどと腑に落ちたと思うんですよ。男気の人たちだから、TORUさんの高音域がコーラスできるのかとかベースが弾けるのかとか、そういう問題ではないという。

RYOSUKE:ははは。まったくその通りで。高音域は、もはや出るか出ないかではなくて、出せっていうね(笑)。今、どうこうではなくて、動いていないと今後がないんだったら、動かして今後を掴みたかったんです。

 


『The Grails』
2012年11月7日(水)リリース
01.Rats On The Run
02.The Electric Wizards and the Lonely Humming Bird
03.The Chronicles
04.No Lights
05.Today
06.In My Life


Session. 002――
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